同時通訳の訓練法を応用した英語習得法の10回目、練習法を紹介するのは今回で最後です。
今回は、Speakingの練習に役立つ「サイトトランスレーション(サイトラ)」を紹介します。
これは一番通訳に近い練習法で、プロ通訳者の先生も「サイトラを練習しまくればプロになれる」と言っていたほどです。



サイトトランスレーションとは

English Hubさんの定義をお借りすると、「サイトラとは「サイトトランスレーション(sight translation)」の略語です。サイトトランスレーションとは、英文を「チャンク」と呼ばれる意味のかたまりごとに区切り、前から訳していくトレーニングの方法のことを指します。 」



和訳のように一つの文を丸々訳すのではなく、固まりごとにどんどん訳していくのが特徴です。


用意するもの

・日本語のテキスト(書き物なら何でも、新聞、雑誌、ブログ、小説・・・)
・レコーダー

やり方

「スラッシュリーディング」と「クイックレスポンス」を足して2で割ったようなやり方に似ています。文章を、頭からどんどん口頭で訳していく練習です。


例えば、以下の例文。

5度の納入延期で、初号機の納入が2020年半ばと当初の計画より7年遅れとなっている国産初のジェット旅客機「MRJ」。(NHKニュースより)

これを英語に訳してください。
でも、普通の英訳をするように「えっと・・・後ろから動詞をとってきて・・・」とやるのではなく
スラッシュリーディングでやったように、意味の切れ目で切りながら訳します。

5度の納入延期で、/初号機の納入が2020年半ばと/当初の計画より7年遅れとなっている/国産初のジェット旅客機「MRJ」/

として、
After fifth delay of handign over/
its first delivery is schedule in mid 2020,
which is 7 years behind of its original plan.
People are waiting for Japan's first locally produced airplane.
という感じで頭からどんどん英語にしていきます。

ちょっと意味が変わっているところがありますが、大体同じ事言っていますよね。それで大丈夫です。
大事なのは、頭からポンポン口頭で訳ししていくことです。

注意点は、普通の英訳ではないことです。
Japan's locally produced passenger jet, MRJ, will be handed over in mid 2020 after 5 times of delay, which is 7 years behind of its original plan.
と、高校の英訳の授業みたいにキレイに訳すようななことはここでは求められていません!!!

Speakingの練習なので、口頭で。
録音しておいて、自分がどう言ったか後で確認してください。
「もっとこういえばよかった」とか、「ここの文法(語彙)がおかしい」とかをチェックして記録していってくださいね。それが上達につながります。

サイトラに関する多くの記事では、英→日方向の練習を取り上げていると思います。
もともと英→日の同時通訳を鍛える練習方法で、
・英語を理解するスピードを上げる
・英語を聞いて、すぐに日本語を口から出せるようにする
という目的で使われていたものです。
英→日でやるとListeningの強化につながります。
興味がある方はやってみてくださいね。

私の場合は、
母国語→外国語への変換はどうしてもアウトプット力が落ちるので
通訳の先生に日→英のサイトラを練習して
英語のアウトプット強化をしなさいと言われました。
これを続けて、サイトラがSpeaking強化に効果的だということを感じましたので
ここで、Speakingの練習としてご紹介しました。

なぜ効果的か

頭からサイトラを行うことで

・(英→日の場合)英語の文法を変えずに頭から理解する力がつく
・(日→英の場合)瞬時に英語にする力がつく
・能動的に使える語彙力を鍛える

という効果があります。

最後に

この練習のいいところは、どんな日本語でも教材になりえるところです。
クイックレスポンスでも書きましたが、電車の中吊りでもいいですし、会社の資料でもいいし、このブログでもいいです。(今の文章、サイトラできますか??ぜひやってみてくださいね。)

休み時間に会社の資料でサイトラすれば仕事の英語を練習することも可能です。

Speakingの練習だと、英会話が思いつくかと思いますが、英会話だと「えっと、何言おう」というようなことがたまにあると思います。
サイトラは、いうべきことは目の前に用意されているのであとは英語をとにかく口にするだけでOKです!
ぜひ、どんどん練習してみてくださいね。